黄金比を使ったロゴマークを作ろう

実は、世界的に有名な企業のロゴマークの中には、黄金比を使ったものが多いことをご存知でしょうか。ここでは、黄金比やロゴマークのデザインなどについて詳しくお伝えしていきます。「もっと洗練されたロゴを作りたい!」という人や「多くの人に愛されるロゴにしたい」と感じている人は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

黄金比とは

黄金比とは、人類が最も美しいと感じられる比率のことで、貴金属比のうちのひとつです。この比率のことを発見したのは、紀元前4世紀頃に古代ギリシャの数学者や天文学者として活動していたエウドクソスと言われています。

黄金比という言葉は、1835年に刊行した著書の中で、ドイツの数学者であるマルティン・オームが初めて使ったもので、それ以降黄金比という呼び方が定着するようになりました。時代の流れと共に黄金比は人々に多く知られるようになり、歴史的建造物や絵画など様々なところで使われてきました。

パルテノン神殿やサグラダ・ファミリア、ミロのヴィーナスなど誰でも一度は耳にしたことのあるような有名なものにも、実はこの比率が使われているのです。レオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれた「モナリザの微笑」も、黄金比が使われた絵画として多くの人々に知られています。

その比率がつくり出す美しさゆえに、デザインや写真の構図などに用いられることも多くなりました。黄金比は身近な存在になったのです。名刺やたばこの箱などにも用いられています。さらに、実はこの黄金比は自然界にある動物や植物にも存在すると言われています。

周りを見渡してみれば、もっとたくさん黄金比のものが見つかるかもしれません。

黄金長方形と黄金螺旋

黄金比の近似値は、1:1.618となっています。約5:8の比率です。神の比や中末比、外中比と呼ばれることもあります。そして、縦と横の長さが1:1.618の比率になっている長方形のことを黄金長方形と言います。

この長方形は、その中から最も大きいサイズの正方形を取り除くと、残った長方形の部分は再び黄金比を持つ長方形となります。その長方形からさらに正方形を除くと、残された長方形は再び黄金比となり、というように永遠に繰り返していくことができます。

黄金長方形に正方形の線を描き、角になる点を滑らかになるようにつないでいくと、ぐるぐると続く、渦巻き状の螺旋を描いていくようになります。

この螺旋の事を黄金螺旋と呼んでいます。これはひまわりの種やオウムガイの殻など、自然界でも多く見られるものです。

有名なロゴデザインも実は黄金比

日本を代表する企業のひとつ、自動車メーカーのTOYOTAのロゴマークは、3つの楕円が重なったデザインで、その構成は黄金比に基づいたものとなっています。TOYOTAは創業以来、その長い歴史の中でロゴマークも変化させてきました。

1989年に、この楕円が重なった現在のデザインへとたどり着いたのです。

英語のTOYOTAという文字が全て含まれており、かつ黄金比を使っているため、とても完成度の高いロゴと言えるでしょう。

また、Appleのリンゴをかじったようなデザインのロゴも、黄金比で構成されているものとして有名です。黄金長方形の中にある、正方形の一辺の長さを直径とした円をもとにしながらリンゴのフォルムが描かれているのです。

これは、ブラジルのデザイナーであるチアゴバルセロス氏によって発見されました。長年に渡って世界中で愛されているAppleのロゴには、誰もが美しいと感じる理由が隠されていたのです。その他にも、TwitterやGoogle、ペプシなど多くのロゴにこの黄金比が使われています。

カッコイイなと感じたり、印象的だと感じるロゴを見つけたら、黄金比を照らし合わせながら紐解いてみてはいかがでしょうか。

ロゴへの黄金比の取り入れ方

黄金比が美しい比率だと分かっても、実際ロゴ作成の時にそれをどのように利用したらよいのかわからないということもありますよね。黄金比の図をずっと眺めていたら、良いデザインが思いついたという状況は、なかなかないはず。

基本的には、今までと同じような作成方法で構いません。ササっと手でロゴのイメージをスケッチし、それをベースにイラストレーターなどのソフトを使って仕上げていく過程で、黄金比を利用するのです。矩形がある場合は黄金長方形を当てはめたり、曲線がある場合は黄金螺旋や黄金比における円を当てはめていきます。

そのように少しずつ調整していくと、次第に全体のバランスや形が整って、美しいデザインに近づいていくことができるでしょう。ただし、あくまでも黄金比は基準のひとつです。それに縛られすぎるとかえっていびつなデザインになってしまうこともあります。

自分が持つデザイナーとしての感性も大切にしながら、取り入れていくようにしてください。

ロゴをデザインする際のポイント

ロゴは単なる企業のマークではありません。ブランディングにも大きな役割を担っており、企業の価値を高めるために欠かせない存在でもあります。そのため、ロゴのデザインは、黄金比だけでなくあらゆる角度から慎重に検討していくことが求められます。

まずは、シンプルであることです。

ロゴのデザインは、複雑なものよりも、シンプルなものの方が覚えてもらいやすくなります。また、このシンプルさとは、ロゴに込められるメッセージについても言えます。企業がユーザーに伝えたいメッセージがひとつだけの場合は分かりやすいですが、いくつものメッセージを持っている場合もあります。

その場合、すべてを伝えようとしてしまうと、結果的にすべてが中途半端になってしまい、メッセージ性の薄いものになってしまいかねません。ひとつのメッセージに絞り、それに焦点を当てることで、デザインが研ぎ澄まされ、メッセージ性の高いロゴを作成することができるでしょう。

また、様々なシーンで利用することを想定しながらデザインする必要もあります。ロゴは、看板やホームページだけでなく、名刺や封筒、商品など様々なものに使われます。大きいサイズの時もあれば、小さいサイズの時もあります。

そして、カラーだけでなくモノクロ印刷の時も考えられます。どのような状況でも美しく、分かりやすいデザインであることが、ロゴには求められるのです。

黄金比を味方にして究極のロゴをデザインしよう

黄金比が持つ特徴を考えれば、黄金比を使っているロゴには、長年に渡って多くの人々から愛されているものが多いことにも納得できますよね。人類が本能的に美しいと思える比率は、最強の比率とも言えます。黄金比は、ポイントさえ掴めば気軽に取り入れられるものです。

そんな黄金比をうまくつかうことで、究極のロゴデザインを目指してみてはいかがでしょうか。